『都市と星』

アーサー・C・クラーク 酒井昭伸訳 ハヤカワ文庫

 

不快なことは除去され、誕生や死も完全に管理された都市ダイアスパー。
特殊な生い立ちを持つアルヴィンはダイアスパーから外に出ようとする。
ダイアスパーは村上春樹『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』の「世界の終り」の街の原型のように思いながら読んだ。
前半はダイアスパーの仕組みが精緻に描かれる。あまりに何も起こらなすぎて世界がスタティックにならないように道化(トリックスター)までもが仕組まれた都市。
完全すぎるゆえに不自然なこの都市の秘密を暴くのがアルヴィンだが、当初はこの主人公が少し尊大な若者で思い入れができなかった。
のちのち彼がさまざまな事件を通して成長してゆく教養小説にもなっているのだが。
アルヴィンが地球のもうひとつの都市リスにたどり着き、そこから話は全宇宙的に大きく展開するが、私は話があまりにでかすぎて少々ついて行けなくなった。
話としてはおもしろいが、『星をつぐもの』と違って自分のことのようにリアルにどきどきする感じがない。

ストーリーの進め方が少しおおざっぱすぎるような。
このへんは趣味の問題なのだろうけど。