『ノーベル文学賞を読む ガルシア=マルケスからカズオ・イシグロまで』

橋本陽介 角川選書

「ノーベル文学賞」というと、ここ数年は村上春樹さんが受賞するのでは、ということで盛り上がっています。

そして、名前を知っているか知らないかの読んだことがない作家が受賞するたびに、がっかりするやらほっとするやらの微妙な気分になる。

そんな繰り返し。

まあ、ここ二年は少し様子が違いましたが。

橋本さんはそれではもったいない、といいます。

ノーベル文学賞を巡る言説において、意外に見過ごされているのが、受賞作家の作品の質の高さである。世界中に様々な文学賞があるが、やはりノーベル文学賞の水準は高い。全体的にどれもおもしろいのである。読まれないのはあまりにももったいない。

そこで本書の第一の目的は、読まれていないことを前提として、一九八〇年代以降に小説で受賞した作家の作品をできるだけ多く紹介することである。

1981年のエリアス・カネッティから2017年のカズオ・イシグロまで13人の受賞者をピックアップして、作品を紹介します。

といっても、紹介のしかたは単に筋を要約したものではなくて、作品が「どのように書かれているか」ということを説明しているので、おもしろい。

本書で取り上げられている作家をほとんど読んでいないのでがっかりです。

学生の頃は、芥川賞受賞作のリストや「国語便覧」に載っている年度ごとの代表作を読破する、といったことをしていましたが、いつからかやめてしまったからなー。

これからも、まだまだ未知の小説を読む楽しみが残っているのだ、と前向きに考えます。

トニ・モリスンの『ビラヴド』はかなりおもしろそう。

J・M・クッツェーの名前は知っていたけれど、まだ読んだことがない。

『敵あるいはフォー』はメタ・フィクション好きとしては読んでみたい。

高行健『霊山』は、橋本さんの専門が中国文学ということもあって、魅力的に説明されています。

マリオ・バルガス・リョサは『フリアとシナリオライター』がとてもおもしろかったけど、『緑の家』で挫折しました。

しかし、挫折してもしょうがないくらい難しいことが確認できたのでよかった。

むしろ『世界終末戦争』を読みたいですね。

私の好きな大江健三郎には「中二病」と辛口です。

納得ですが。

「終わりに」で橋本さんは「当初の考えでは作品解釈や文学理論全般その他に踏み込んで書こうと思っていた」といっています。

ぜひ、そういった本を読みたいですね。

取り上げられている小説をAmazonで調べてみると、その多くがもはや中古でしか手に入りません。

図書館などでこつこつ読んで行こうとは思いますが、こういった本を電子書籍にしてくれないものでしょうか。

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