『サブリミナル・インパクト――情動と潜在認知の現代』

下条信輔

 

知覚心理学者である下条さんの本は以前『サブリミナル・マインド』を読んだことがあり、刺激を受けた。

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例によって詳しいことは忘れちゃったのだけれど、逆さメガネ(天地が逆に映るメガネ)をずっとつけていると最初はまともに歩けないのに、そのうち慣れてふつうに歩けるようになる、というエピソードは覚えている。
人の知覚や認識なんて当てにならないよ、ということだろうな、と勝手に整理して覚えているわけだが。
この本では人間の認知系(知)と情動系(情)にそれぞれ顕在的な部分と潜在的な部分があるけれど、顕在的な認知系により人間は行動しているのではなく、潜在的な認知系、情動系により行動させられているのではないか、ということを説明している(と思う)。

たとえば何かしらの商品を買うに当たって、じぶんが合理的な判断で購入している、と私たちは思っているけれど、それは後付けに過ぎず、実は氾濫するコマーシャルや広告などによって潜在的に親しみのあるものを選んでいるだけに過ぎないのだ、と様々な実験を用いて説明する。
私はいつもオリジナリティやら個性やらというものに対してひじょうに疑念を持っていて、ことさらに個性的ぶる人を見ると嫌悪してしまうのだが、この本を読んだ理由はたぶんそんな「個性」に対する反発という側面が強い。
現代社会において私たちの情動や潜在認知への「攻撃」について説明したあと、しかし下条さんは唐突に最終章で独創性について語る。
独創性は閉ざされた個人の心から生まれるのではなく、情動・潜在認知が社会と関わってゆたかになり、そして新たに組織化されて見いだされるときに生まれる、と言っている(たぶん)。

 この最終章では、本全体で素描してきたひとつの見方の応用問題を解くと同時に、テーマ全体の変奏曲を、最後に奏でる結果となりました。現代社会と現代人のこころの分析に終始したこの本を、それによってよりポジティヴな未来形で終わらせることにもなる。善悪は別にして、いずれにせよやってくるものをより正確に予測し、備えることにもなる。
たぶん潜在認知のどこかで(!)、私はそう考えていたのかも知れません。

いずれにせよ、かなりはしょって読んでしまった。
もう少し下条さんの本を集中して読まないときちんと把握できないかも。
講談社現代新書から『「意識」とは何だろうか―脳の来歴、知覚の錯誤』という本が出ているので、それもできたら近いうちに読んでみよう。

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m-betsuo(べつお)

やる気のない中年男性が、やる気を出そうとしています

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