若い頃は、着るものにこだわりました。
下着やワイシャツは綿100%のものしか身につけなかったし、パンツやジャケットはウール。
バッグだって、若い頃のほうがきちんとした高価なものを持っていました。
レザーでできたダレスバッグみたいなの。
バッグ自体が重くて持ち運びにはつらいのだが、紳士たる者がきちんとしたカバンを持っていなくてどうする。
靴はもちろん硬い革靴で、底も革。
マメを作りながら歩いていました。
母方の祖母が洋裁をやっていたので、子どもの頃は結構いい服を着せてもらった記憶があります。
反動が中学生〜高校生の頃やって来て、男たる者服になんて金をかけるべきではない、というどこで仕入れたか忘れてしまったポリシーで、ほとんどジャージで生活をしていました。
大学に入ると揺り戻しが来て、「MEN’S CLUB」を定期購読しファッションを研究する日々となりました。
皿洗いのバイトでお金を貯めて、10万円超えのコートを買いました。
つい最近まで持っていましたが。
就職してからは、服とカバンばかり買っていたような気がします。
ビジネスマンはスーツを揃えなくちゃ。
調子に乗って、サスペンダーしているときもありました。
いまやほとんど「UNIQLO」に埋め尽くされたワードローブ。
またもや反動がやって来たのでしょうか。
今、着るものを選ぶときに最も優先に考えることは、機能的かどうか、ということ。
西洋のエグゼクティヴには通用しない考えかもしれないけれど、私はエグゼクティヴにはなれないことがもうわかったから、かまわない。
ジョブズを知る前からタートルネックのセーターばかり着ていたが、室内に入れば暑くてたまらないので、着るのをやめてしまいました。
夏の下着は綿はやめてエアリズムにし、冬はヒートテックにしました。
バッグもバックパックか斜めがけしか持たなくなった。
冬のウールコートはダウンに変わりました。
富士山に登ることをきっかけにして、登山グッズに目を向け始めたのがきっかけだった。
いつものように登山自体が好きなのではなく、登山グッズが好きだっただけなのですが。
登山では、綿を下着にするのは御法度とされています。
歩いてかいた汗を綿が吸収したままになって、体温が奪われるから。
化繊推奨。
クールビズ、ウォームビズの導入も大きいです。
お上の施策としては、かなり上出来なものでした。
もちろん、ダンディズムとして夏でもスーツを着続けるのもありだとは思いますが、私にはあのスーツを着なくていい、というのはうれしい出来事でした。
大震災の影響もあるでしょうね。
いつサバイヴすることになるかわかりません。
さて、私のワードローブの中でいちばん稼働しているのが、アークテリクスのスコーミッシュ・フーディです。
春と秋、少し肌寒いときにはシャツの上からはおるし、夏場でも冷房がきつい室内やゲリラ豪雨のためにバッグに忍ばせておいてもよい。
こんなに小さくなっちゃうから。
そのくせ、とってもかっこいい。
スコーミッシュ・フーディに代表されるように、私は登山系の服にどんどんシフトしています。
アークテリクスはもちろん、エーグルやホグロフスなどがアパレルの服を駆逐しています。
登山系は丈夫で機能的で、少し美しい。
今後死ぬまでは、この方向に進み続けることになりそうです。