病院のベッドでずっと動けない間、自分とは状況も立場も違うことは承知しながらも、たけしさんが起こしたバイクによる自損事故のことを思い出していました。
調べるとそれは1994年の8月のことでした。
伝説のオールナイトニッポン第1回をたまたま聞いてしまったときから、私にとってはたけしさんは人生観すら変えてしまったアイドルでした。
かれの生き方すべてを私は支持していました。
フライデーを襲撃したときも、行き過ぎた報道を正すためには間違った行動ではない、と思っていました。
その中でバイク事故は私には理解できないことでした。
自殺未遂とも言われ、いずれにせよ単なる事故だとは思えませんでしたが、なぜ明らかに死ぬ可能性のある軽率な行動をとるのか、当時の私にはまるでわからなかったのです。
しかし最近年をとり(そしてあの頃のたけしさんと同じ年になり)ようやく少しだけたけしさんの気持ちがわかる気がするのです。
それは自ら進んで何かを投げ出してしまおうとする衝動です。
きっとフロイトやバタイユさんなどがうまく説明してくれている気がしますが。
私が毎週当たることのない馬券を買い続けているのは、命も全財産を失う勇気のないまるでだめなおっさんの緩慢で卑小な蕩尽に過ぎないのでしょう。
なんてことを病室で馬券買いながら考えてました。
ひまなので。