彼岸の墓参りをして来た。
なぜ彼岸に墓参りをしなくてはいけないのか、いまだに説得力のある答えにめぐり会っていない。
一方、お盆に墓参りするのは理解できる。
霊を墓まで送り迎えにするという「物語」が成立しているからだ。
しかし親が墓参りしたいというので、連れて行った。
別に納得できていなくても、やらなくてはいけないことは世の中には山ほどある。
墓参りの際、墓石のてっぺんから水をかけるのが父が生きていたときからのやり方であった。
母が「こないだテレビで墓石の上から水をかけるのは、人の頭から水をかけることと同じで失礼だからよくないといっていた」と言った。
私は言った。
「私が水をかけているのは人ではなく石に過ぎない。人の頭に水をかけているのとは全く意味が違う。仮に人として扱うというのであればぞうきんでふくのはもっと失礼だし、人の両脇に花を置くというのもいかがなものか。だいたい人だって頭を洗うとすっきりするのだから、なんのもんだいがあるのかわからない」
もう少し、生きている人間に優しくならなくてはいけない。