おれおれおれおれ

私の母はだいぶ年を取った。
しかし、あいかわらずひねくれている。
テレビに出るアナウンサーやタレントをばっさばっさと斬って捨てている。
「オレオレ詐欺」にひっかかる人のニュースを見るたびに、「なんでひっかかるのかねえ」と馬鹿にする。
実際に遭遇するとあわててわからないものなんだ、と私はたしなめるのだが、母は納得しない。

母から電話がかかってきた。
「なんで電話してこないんだ。出かけられないじゃないか」と怒ったようにいう。
私の気が狂ったのか、母がぼけたのかのどちらなのだろう?と思うと、何も言い返せなかった。
昨日電話をしてきたじゃないか、と母。
私は、していないと答えた。していないよな。うん、していない。
「ええ?」と母は驚いた声を出した。

昨日の夕方5時頃、男の声で電話がかかってきたそうである。
男は母に「俺だけど、明日昼うちにいる?」と尋ねてきたそうだ。
声は私とは少し違ったけれど、週に何回か夕方5時に私から電話をすることが習慣となっていたので、私だと思いこんだようである。
男は明日午前中にまた電話するよ、といったそうだが、やはり声が違うので「べつおだよね」と確認したら電話を切られた、ということだった。

だいたい、名前を訊かれて電話切るなんておかしいじゃないか。そのあと確認の電話をしてくればいいだろう、と軽く説教した。
だけど、完全に本人だと思い込むよねえ。
それでも声が違うと思ったから私が名前を尋ねたんだよ、となんだか偉そうに母は言う。
自分の手柄のような話になっている。

新手の詐欺の手口なのであろうか。
とりあえずそのあと犯人(?)からの電話はないらしい。
「私はだまされない」といっている人が、いちばんだまされるのである。
こまったものだ。
母にはいい薬になったであろう。

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昨年、こんなひどいメールを信じて、カード番号などを入力させられ、クレジットカードを勝手に使われてしまったことがあったのは、秘密である(カード会社からの連絡で発覚し、損失は補填していただきました……)。