もう30年以上も昔、TBSテレビで 「パパ大好き」という番組がありました。
司会がコサキンこと小堺一機さんと関根勤さんのコンビ。
父と子の家族愛的なものが番組のテーマだったような気がします。
当時コサキンのラジオのヘビーリスナーだった私は、「パパ大好き」の公開収録への参加をハガキで申し込んでみたら、観覧できることになりました。
TBSテレビのスタジオに観に行ってきました。
当日の内容については、ほとんど忘れてしまいました。
前説のとき、コサキンの他にゲストが来ると聞かされましたが、誰が来るかは分からなかった。
少しわくわくしたことは覚えています。
なぜだか、入場するときにスプーンを渡されました。
その日のゲストは、清田益章さんでした。
スプーン曲げで有名な「超能力者」です。
私は少しがっかりしました。
超能力者といえば、子どもの頃ユリ・ゲラーなどを見てきてはいます。
すごいなあ、自分にもこんなことができるんだろうか?などと夢中になった時期もありました。
しかしその後分別をわきまえるとともに超能力なんてインチキだ、という常識的な人間になっていったのです。
「父と子の家族愛」と清田くんがどうして関連したのか、本当にすっかり忘れています。
何はともあれ、清田くんが超能力でスプーンを曲げるというのです。
そして「その力は同時にスタジオ内にも行き渡ります」。
観客の皆さんも、お渡ししているスプーンが曲がるように念じてくださいとコサキンがいった(と思う)。
清田くんは、簡単にスプーンを曲げてしまいました。
観ている場所から遠かったし、トリックがあったかどうかは分かりません。
清田くんは曲げるんだろうなあ、となんとなく思っていたので驚くことはありませんでした。
もちろん、私のスプーンは微動だにしません。
曲がるわけがない。
「ああ」という声には反応して右隣をちらっと見ました。
隣に座っていた知らない女性が顔の前に握りしめていたスプーンが、その首のところからぐにゃと曲がっていくことを見てしまいました。
私も「うわ」と声を出してしまいました。
その女性が仕込みで、スプーンに仕掛けがあったことは否定できません。
しかし、本放送ではその女性が映ることはありませんでした。
清田くんもその後それなりに波乱の人生を歩まれたようです。
人が超能力を持っているとしたら、この世のものと思えない美しい顔を持った女性のように生きにくいだろうなと想像ができます。
シンプルに考えていくためにはほんとうは超能力なんて「ない」と言い切りたいところですが。