煙草をくわえたら 貴方のことを
突然思い出したから
涙の落ちる前に 故郷(くに)へ帰ろう
「交響楽」(シンフォニー) さだまさし
父親はたばこ嫌いで、酒とは違って子どもにのませなかった。
私も興味をもたなかった。
中学校のとき、同級生が隠れてたばこを吸っては、先生に見つかっていたものだ。
私はなぜ学校で喫煙しなくてはいけないのか、理解ができなかった。
私がたばこを嗜むようになったのは、きちんと二十歳を過ぎてから。
たぶん、サークルの先輩にあこがれたからとか、その程度の理由だ。
会社に入ると、飲み会のときだけたばこをくわえた。
家では隠していたけれど、酔った父に「お前がたばこをやってるのは知ってるんだ」と言われた。
会社に入って5年目、飼い犬のクロが真夜中に死んだ。
翌朝、ベランダでたばこに火をつけて、谷川俊太郎の「ネロ」を黙読した。
それを最後に、すっかりやめてしまった。
いまでは、なぜ以前喫煙していたのか分からないくらい、たばこを毛嫌いしている。
電子たばこというものがあるらしいけれど興味はない。
「愛煙家通信」というサイトがあり、名だたる文化人みたいな人たちが「禁煙ファシズム」に「もの申」していた。