私が子どもの頃、家にあったテレビは当然のことながらチャンネルが回転式だった。
チャンネルを変えるときは、チャンネルを変えるための「つまみ」をがちゃがちゃと「ひねる」のである。
当然、リモコンなんてものはなかった。
子どもの頃の私は、チャンネルを神経症的に変えまくっていた(現在もザッパーとして継続中)。
それが原因だと思うけれど、チャンネルのつまみに不具合が生じた。
4チャンネル(日本テレビ)が3チャンネルと4チャンネルの間じゃないと映らなくなってしまったのである。
それでどうしたかというと、テレビの足(というものが存在した)からチャンネルにかけてひもを回して、テンションをかけて3チャンネルと4チャンネルのあいだでつまみが止まるようにしたのだった。
家でそれができるのは私と母親だけだったので、たいへん重宝がられた。
家で重宝されたのは、たぶんそのときだけである。
性に目覚めた頃、ベストテン番組に出ている女性歌手のミニスカートの中が覗けないものかと、テレビの真下からテレビを見たことがある。
なぜ見えないのか不思議だった。
そんな過去は消してしまいたいが、酒に酔って家に帰ってきたときテレビを見ると、現代ならひょっとすると見えるかもしれない、といまだに試したくなる誘惑に駆られるときもある。
大人なのでこらえるが。
ていうか、いつになったらそういうテレビができるのだろうか。
4Kとか8Kなんかいらない。
あ、VRっていうのはその線から発達して来たのか。